口の中・唇のトラブル
口の中・唇のトラブルとは?
口の中や唇は、皮膚の中でも最も薄く、粘膜が傷つきやすい部分です。口の中は細菌が繁殖しやすい環境でもあり、食事などにより受けた刺激が元々薄い口の中の粘膜を傷つけ、トラブルを起こします。
口の中の粘膜の疾患は炎症だけでなく、腫瘍やアレルギーなど様々な症状があり、腫れる、えぐれる、色調の変化などの特徴があります。
口の中・唇のトラブルの原因
口角炎や口唇炎は、唇を繰り返し舐める事が原因で、唇の脂分が減少し、乾燥が悪化します。そこから口角に亀裂が入り炎症が起きやすくなります。
また、口の中や唇は、粘膜が薄い部分の為、ビタミン不足や免疫力低下などでも起こりやすくなります。疲れやストレスが溜まり、口内炎ができたり、口角炎にも繋がります。
不規則な生活や食生活が続く事で、口の中や唇のトラブルになりやすくなります。また、口周りは化粧品での反応も起こりやすくなるので気をつけましょう。
口の中・唇のトラブルの種類・症状
口角炎
口角炎は、口角の皮膚や粘膜に傷が生じる疾患です。 口を開けた時に皮膚が引っ張られる事で、切れやすくなります。
乾燥している状態で口を開けると症状が広がりやすく、ビタミン不足や睡眠不足でもなりやすいです。
口唇炎
口唇炎とは、唇が炎症を起こし荒れている皮膚疾患です。 乾燥している事で起きやすく、舐め続けていると悪化しやすくなります。
合わない口紅やリップの成分で反応を起こしてしまう場合もあります。
口内炎
口内炎とは、口の中で起きる炎症で、小さく凹んで傷ついた状態になります。不規則な生活や食生活が続いた時や、ビタミン不足が続くと複数発症する事があり、食事の時に差し支える程になります。
口唇ヘルペス
口唇ヘルペスとは、ヘルペスウイルスが原因の皮膚疾患です。唇に小さな水ぶくれができ、ピリピリしたり、チクチクする違和感やかゆみが特徴です。
人から人にうつることがあるので、タオルや食器の共用は避けましょう。治ったと思っても、体内には潜伏しているウイルスなので、免疫力が低下した時など条件が揃えば再発を繰り返します。
血管性浮腫による口唇腫脹
血管性浮腫とは、顔の一部や唇が突然腫れる疾患です。蕁麻疹に伴ってできたり遺伝的な原因も考えられます。
接触口唇炎
接触口唇炎とは、何かしらの原因物質に接触した事が原因で炎症が起きる疾患です。口紅やリップなどに含まれる刺激性物質が原因になりやすい為、女性に多い症状です。
食べ物や金属などアレルギー反応が原因の場合もあります。
剥脱性口唇炎
剥脱性口唇炎とは、唇の皮が剥がれ続ける疾患です。極度の乾燥が原因で、唇を舐めやすい子供に多く見られます。
口腔カンジダ
口腔カンジダとは、主にカンジダという真菌による感染症です。口腔内の常在菌なので普段から常在していますが、免疫力の低下などで、口腔環境のバランスが崩れると増殖しやすくなります。
乳白色の点状や線状の偽膜が付着します。慢性化すると治りにくくなるので、異常を感じたら早めに皮膚科を受診しましょう。
扁平苔癬
扁平苔癬とは、粘膜にできる疾患で、角化症で炎症を伴う難治性皮膚疾患です。口の中の粘膜や舌、唇にできやすく、白い粘膜疹が発症します。
歯科金属によるアレルギーやストレスなどが原因と言われますが、正確には原因不明と言われています。
白板症
白板症とは、口の中の粘膜に生じる板状、または斑点状の角質が厚くなった、こすっても取れない白斑が生じる疾患です。
口の中の粘膜が白くなるのが特徴で、他の皮膚疾患に分類されない稀な症状です。
口腔乾燥症
口腔乾燥症とは、口の中が乾く疾患で、水分の摂取量が極端に少なかったり、急激に多量の水分が奪われた時に起こります。
鼻がつまって口呼吸になってしまう時など、唾液が少なくなり、乾いた口腔で細菌が繁殖しやすくなるので注意が必要です。
口の中・唇のトラブルの予防法・治療
予防法
口の中や唇は、免疫力の低下が大きく影響します。 ビタミン不足や、睡眠不足、不規則な生活やストレスが口の中や唇の疾患に繋がる可能性が高いので、日頃から規則正しい生活や食生活を意識しておく事が大切です。
ビタミン不足にはサプリメントなどでも補えるので、活用するのも良いでしょう。
治療法
口角炎や口唇炎など、乾燥が原因で起こる場合には、保湿や保護をするワセリンや、口の中に入っても問題のないプロペト(ワセリンから不純物を除き精製したもの)を使用します。
食事が刺激になる事も多いので、食べる前に保湿剤を塗ります。口唇炎などで炎症がある場合は、ステロイド剤を処方します。
アレルギーなど、原因物質が特定されている場合は避けて生活しましょう。ウイルス性の疾患の場合は、抗ウイルス剤の内服薬が処方されます。
特に口唇ヘルペスは人にうつる事があるので、家族間でもタオルなどの共用は治るまで避けましょう。口の中や唇の疾患は、軽度の物なら1〜2週間で自然に良くなることもあります。
口の中や唇は、食事や会話など日常生活にも差し支えるので、違和感がある時や、初めて発症する場合などは早めに皮膚科を受診しましょう。