アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎とは?
アトピーとはギリシャ語で(アトポス)から来た言葉で、「奇妙な」という意味を持っています。
アトピーは、アレルギー性疾患の特殊な体質の人に起こるトラブルと考えられてきましたが、現代ではアトピーが深刻な社会問題となっています。
アトピーと一言で言っても発症の原因、症状も様々で対応も異なります。
完治するのは難しい、繰り返すことの多い疾患だと言われています。
アトピー性皮膚炎の原因
主にアトピーの原因は以下の3つです。
1. アトピー因子を持つ体質
2. 角質層バリア機能の低下(肌の乾燥)
3. アトピーが出る原因となる外的刺激
この原因により、アトピー性皮膚炎が発症し、乾皮症、炎症、かゆみが発生します。
1.アトピー因子を持つ体質
様々な異物の中で生活をしている現代人。
私達は体内に侵入してくる様々な異物から自分に合わない物(抗原)に対する抗体を作り撃退しています。
それが〈免疫〉という働きです。
それがうまく機能せずに、異物に過剰に反応してしまうのがアレルギー反応と言われています。
アレルギーが皮膚に出るのがアトピーです。内側に出るのがじんましんやぜんそく、鼻炎などです。
アレルギー体質でなくても乾燥しやすくアトピーになりやすい肌質の人もいます。
2.角質層バリア機能の低下(肌の乾燥)
本来お肌を守る働きのある角質層が、肌の乾燥によりバリアする機能を失ってしまいます。
バリア機能の低下は悪循環を生み、肌の新陳代謝の低下になります。
1.角質バリア機能の低下(皮脂膜の喪失・細胞間脂質の減少)
2.表皮水分量の低下(水分蒸発がすすむ)
3.慢性的毛細血管の収縮(水分蒸発を防ごうとして縮む)
4.新陳代謝の低下(栄養不足で表皮代謝が異常になる)
5.さらに皮膚バリア機能の低下が激しくなる
という悪循環を生み出します。
3.アトピーがでる要因
アレルゲンや、生活環境の悪化によりアトピーが発症しやすくなります。
アレルゲンの種類
吸入性アレルゲン
- 室内
- ダニ、タタミ、そばがら、ペットの毛、衣類
- 花粉ブ
- タクサ、カナムグラ、スギ、アカマツ、ススキ
- カビ
- アルテルナリア、ぺニシリウム、カンジダ
食物系アレルゲン
- 牛製品
- 牛肉、牛乳、チーズ、バター
- 鳥製品
- 鶏肉、卵、マヨネーズ
- 大豆製品
- 大豆油、おから、豆腐、納豆
- その他
- 豚肉、小麦、米、とうもろこし
薬物系アレルゲン
鎮痛剤、解熱剤、抗生物質、ホルモン剤
接触系アレルゲン
薬物、合成物質、化粧品、塗料、衣服、金属、うるし
生活環境の悪化
- 自然環境
- 紫外線、大気汚染、水質汚染、化学物質
- 住宅環境
- 高層化、機密化、絨毯、エアコン、ペット
- 食生活
- 栄養の偏り、外食、偏食
- 社会構造
- 学校、職場、家庭内などのストレス、過労
正常な皮膚とアトピーの皮膚
正常な皮膚
・皮脂膜がある
・細胞間脂質がたっぷりある
→表皮のバリア機能が正常の為、異物の刺激を受けにくい。
アトピーの皮膚
・皮脂膜がほとんどない
・細胞間脂質がほとんどない
↓
1.角質層が空洞化
2.異物の侵入が容易になり刺激を受けてしまう。
アトピーの悪循環
アトピーは、バリア機能の低下から、外的な刺激に弱くなり、炎症やかゆみの症状が出ます。
かゆみを我慢できず、かきむしる事でさらにバリア機能が低下するという悪循環を生みます。
アトピーの悪循環を断ち切るには次の7ステップが必要です。
1.バリア機能の回復
2.低刺激
3.新陳代謝活性効果
4.消炎、殺菌、カユミ止め効果
5.活性酸素対策
6.清潔、低刺激
7.体質改善
アトピー改善のために
アトピー症状は、改善と悪化を繰り返します。
症状が改善される過程で、一時的に悪化しているような症状が出る場合もあります。
1.外的刺激によりすぐに症状が出る
2.症状に波があり、刺激が少ない時は出ないが、またすぐに症状が出る
3.アトピー症状が出ているが、よい方向に向かっている。
4.刺激を受けても症状が出ない。
この1〜4を繰り返して、症状が出ない状態を長くしていく事が大切です。
治療薬について
ステロイド剤
ステロイド剤は、副腎皮質ホルモン製剤で、抗炎症作用、抗アレルギー作用を持ち、皮膚炎には効果的な効果を発揮します。
強度や使用期間の長さによって重くなる傾向があります。
ステロイド剤とリバウンド
ステロイドを長期間連用していて急に中止するとリバウンドといって抑えられていた症状が急増する場合があります。
皮膚が赤く腫れたりするケースもありますが、徐々に寛解していきます。しかし、時間がかかったりかゆみが酷くなる場合もあるので、急激に断とうとせずゆっくり時間をかけて少なくしていく事が必要です。
軟膏やクリーム、ローション
保護、保湿に優れている軟膏やクリーム、ローションは
使用感や部位、症状によって使い分けます。
皮膚に乗せて優しく刺激にならないように塗り込みます。
内服薬
アトピー性皮膚炎はかゆみが起こりやすく、一度かゆみが出ると酷くかきむしってしまう為、かゆみをおさえる目的で抗ヒスタミン薬や抗アレルギー 薬を処方する事もあります。
※治療薬は場合によっては副作用が現れる場合もあるので、よく相談し理解した上で選ぶ事をおすすめします。