ほくろ
ほくろとは?
ほくろとは、メラニン色素を生産するメラニン細胞が変化した「母斑細胞」が増殖した皮膚の良性腫瘍の一種です。一言で「ほくろ」と言ってもタイプは様々で、ほくろと似た悪性の腫瘍もあります。また、生まれつきあるほくろと、成長過程で発生するほくろがあります。
小さな点程度の物から、直径2.5センチを超えるまでの様々な範囲があり、1センチ未満がほとんどで6ミリ未満が多いと言われています。平な物、盛り上がった物、滑らかな物やザラザラした物など質感も様々あり、色も肌色、黄色、褐色などがあり、毛が生えている事もあります。
ほくろ原因
ほくろの原因は主に紫外線を大量に浴びる事だと言われていますが、それ以外にも原因があります。
紫外線
紫外線を大量に浴びると、色素細胞が黒い色素の元になるメラニン色素を大量に発生させます。紫外線を浴びた皮膚は新陳代謝が落ちる為、余分な色素を排出できなくなります。
摩擦や刺激
皮膚は刺激が加わると皮膚を守ろうとして過剰にメラニン色素を作り出す事があります。クレンジングや洗顔時の摩擦やメイクの時の刺激も注意が必要です。スキンケアを意識しすぎての過剰なピーリングやパッティングも力を入れすぎる事がほくろの原因になります。
生活の乱れ
ほくろはホルモンバランスや、ビタミン不足、新陳代謝が乱れたり不足する事でできやすくなります。 睡眠不足や、食生活の乱れ、ストレスなどが重なり免疫力が低下すると新陳代謝が乱れやすくなります。日頃から生活習慣を整えたり、ビタミンB群を多く含む食生活を意識するなど新陳代謝をスムーズにする生活をする事が大切です。
ほくろの症状
ほくろには様々な種類があり、様々な状態があります。 生まれつきの物や、子供の頃に発生する物、大人になるにつれ大きくなる物があり、身体のいたるところに発生します。痛みやかゆみはほとんどなく、色は肌色〜茶色、または黒色がほとんどで稀に青く見える物もあります。
ほとんどの物は心配ない一般的なほくろですが、大きくなっている、境界がぼやけている、盛り上がってきた、など明らかに変化しているほくろは悪性の場合もあるので、皮膚科の診察をおすすめします。
ほくろの種類
ほくろは母斑細胞の深さや、増殖の数、メラニン色素の有無によって種類が分類されます。 大きさよりも深さが大きく関わっている為、表面的に判断するのが難しい事もあります。身体のあらゆる部分に発生しますが、珍しい部分では頭皮や唇、爪に現れるほくろもあります。
境界母斑
表皮と真皮の境界部分に存在する。メラニン色素の生産が盛んで色は黒く、隆起が少なく平坦に見えるのが特徴です。
複合母斑
表皮と真皮の境界から真皮の浅い部分にかけて存在し、メラニン色素の生産も盛んなほくろです。色は黒か茶色で、隆起しているのが特徴です。
真皮内母斑
真皮内にのみ存在するほくろで、メラニン色素の生産は少なく、肌色か薄い茶色。稀に灰色の物もあります。
特殊なほくろ
先天性色素性母斑
生まれつきある比較的大きなほくろのこと。毛が生えてくる事も多いです。巨大な物もあり悪性黒色腫になる可能性もあるので、巨大化する前に手術で除去するのがおすすめです。
爪甲線条母斑
爪の根元にでき、縦の黒い線(黒色線条)が生じてくるもので、ほとんどは良性ですが、稀に悪性黒色腫の場合もあります。色が真っ黒になったり、濃淡が激しい時、黒い線が太い場合や爪が変形しているなどの症状がある時は皮膚科を受診しましょう。
サットン母斑
黒いほくろの周囲が白く色が抜けた状態のものです。
スピッツ母斑
良性のほくろですが、短期間で大きくなるケースがあり、悪性黒色腫との違いがわかりにくい為、目に見えて大きくなっていたら早めに皮膚科を受診して下さい。若い人が顔にできる事が多く、短期間で大きくなりますが、自然に消退する事も多いのが特徴のほくろです。
青色母斑
真皮内でメラニン色素が増殖している為、通常のほくろよりも青く見えるのが特徴です。子供の頃に出て少しずつ大きくなるほくろです。
ほくろと似た腫瘍
ほくろには様々な種類がある為、一見ほくろに見える腫瘍もあります。良性と悪性があるので、気になったら早めに皮膚科を受診しましょう。
脂漏性角化症
老人性疣贅とも呼ばれシミが厚みを増し、盛り上がります。
基底細胞上皮腫
高齢者に多い悪性腫瘍(皮膚癌)の一種です。黒い色なので、一見ただのほくろに見えますが、大きくなり真ん中の部分からくずれてきます。手術によって取り残しがないように、完全に切除すれば問題ありません。
悪性黒色腫(メラノーマ)
皮膚癌の一つで、皮膚の悪性腫瘍の中でも特に悪性と言われ、進行すると内臓にも転移し、命に関わる事もある疾患です。早期に発見し、完全に摘出する事が大切です。 手足などの末端に発生する事も多いので、手の平、足の平、手の指、足の指にできたほくろは要注意です。
軟性線維種
肌色の皮膚から突出した柔らかいしこりのことです。 胴体部分に生じる事が多く、一般的な良性の腫瘍です。
神経線維種
肌色、または淡球状に隆起した柔らかいしこりです。末梢神経に生じる良性の腫瘍です。
ほくろの予防・治療法
ほくろは良性の物が多いので、特に治療しなくても良い場合が多いですが、見た目が気になるから取りたいという場合が多いです。希望があれば取る事ができます。
切除手術
悪性が疑われたり、病気の可能性のあるほくろは切除手術を行います。悪性の可能性が否定できない場合や、悪性が疑われる場合は、腫瘍の一部を切除し悪性か良性か検討する必要があります。
レーザー治療
皮膚の深部のメラニン色素のある細胞をレーザーで取り切る除去法が一般的です。悪性腫瘍ではなく、見た目をきれいにしたい場合などはほとんどがレーザー治療で行われます。照射後に炎症が起こる可能性もある為、治療後1〜2週間はテープを貼って保護する必要があります。メラニン色素を作る細胞を取り除きますが、稀に再発する事もあります。